1-1 広告環境の変化

インターネットの普及に伴い、近年、広告環境は大きく変化しています。

1つは、自社サイトなど企業が自ら広告媒体を所有すること、SNSにより消費者も直接企業に影響力を行使することが可能となるなどの結果、広告媒体に『トリプルメディア』という概念が登場してきました。
そしてそれは、「広告媒体の多様化」と「広告接触機会の常態化」、「接触時間の細切れ化」というもう1つの変化からもたらされたと言えます。

『トリプルメディア』とは、『トリプルメディアマーケティング』の著者である横山隆治氏によれば
マス広告に代表される対価を払って情報発信する「ペイド(Paid)メディア」、企業サイトやキャンペーンサイトのように自社で所有して情報発信する「オウンド(Owned)メディア」、ソーシャルメディアなどでの消費者の自発的な発言や推奨を中心とした「アーンド(Earned)メディア」の三つを指しています。日本語で言い換えれば、「買うメディア」「所有するメディア」「(信頼や評判を)得るメディア」ということですが、これからの企業は、この三つのメディアを有機的に連携させて、企業活動全体をデザインすることが大事だという考え方です。

トリプルメディア

つまり、インターネットの普及により、広告媒体と同じ、ときにはそれ以上に影響力を持つ自社サイトや、消費者自身がSNSなどを通じて情報発信力を持つにいたった現在、広告活動を行ううえでは、店頭などを含めて、お客さまとの接点をどのように総合的に構築し、お客さまとの関係を構築していくかが重要ということです。

コミュニケーションの三角関係


一方、『トリプルメディア』という概念が登場してきた背景には、近年、急速に進んできた「広告媒体の多様化」に対応し、新たな基準によって広告媒体を整理する必要に迫られたからとも言えます。

電通「日本の広告費」によれば、マスコミ四媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)の広告費は2008年(平成20年)に媒体別広告費の構成比で50%を下回って以来、それは低下し続けており、2011年(平成23年)には47.4%となっており、特に新聞広告の縮小が著しく、対してインターネット広告や衛星メディアなどの伸びが著しいなど、広告媒体は多様化していると言えます



そのような状況下、消費者の広告接触スタイルも大きく変化しています。
モバイルインターネットの普及は、消費者の「ながら行動」を推進し、結果、「広告接触機会の常態化」と「接触時間の細切れ化」を招いていると言えます。

ながら行動

このような環境は、広告のパーソナル化を必然化しており、それが先に述べたような広告媒体の多様化を一層加速化させていると言えます。

私たちは、この大きな変化を踏まえたうえで、具体的な広告活動を行っていく必要があるのです。

(2012/05/16)